ハゲ怪獣ムラゴンは今日も生きている

興味があること、考えたことを言語化していく所存です。

四畳半神話大系で学ぶ主体性

完訳 7つの習慣/ スティーブン・R・コヴィーにて第一の習慣として「主体性」 が挙げられている.

「主体性」 を得ることで,外部からの刺激に対して、「どうのように反応するかは自分で決めることができる」ということを自覚することができるようになる.

四畳半神話大系森見登美彦における主人公である"私"は主体性がなく,「今の生活は自分に見合っていない!過去の選択を誤ったんだ!」と嘆いている.薔薇色のキャンパスライフに憧れるが故に,自分では同しようもないことが変わらないかなぁと神頼みしている.

第一話「テニスサークル「キューピット」」にて,明石さんとの縁を成就させてくれと樋口師匠に頼んだ際に,自分から声をかけることさえも拒んでいる.理想はあるのに,自分からは何もしない.自分の行動で何を変えられるのかを全く見当していないのである.

一方,"私"の悪友である小津は主体性の塊と言える.「私は無意義な生活を満喫しているのです」という発言で彼の主体性の高さが見て取れる.現在置かれた「無意義な生活」(といっても小津の生活はかなり充実しているのだが)において,「満喫」するという選択を主体的に選んでいる.満喫するというのは気持ち次第,つまり自分の行動で変えられる範囲の選択であり,スティーブン・コヴィーの示したとおりの模範的な習慣である.

また,樋口師匠も第9話「秘密機関「福猫飯店」」にて,「可能性という言葉を無制限に使ってはいけない.我々という存在を規定するのは,我々がもつ可能性ではなく,我々がもつ不可能性である」と発言している.このあと,"私"は理想ばかりに目を向けないで,自ら主体的に選択することを四畳半での大冒険を通じて学び,有意義な生活を手に入れる.

賢者でないムラゴンが読み物やアニメから人生を変えることはなかなか難しいと思うけれど,どうか小津のように自分が何ができるかを考え,主体的に選択していきたいと思う.